管理委託料は、賃貸経営の固定費のなかで最も見直しやすい項目です。しかし単純に安い会社へ乗り換えると、かえって収支が悪化することがあります。
この記事では、まず相場の水準を整理し、そのうえで「率」ではなく「金額」で考えるべき理由を具体的な計算で示します。
管理委託料の3つの水準
賃貸管理の委託料は、委託する範囲によって大きく3つに分かれます。
| 形態 | 相場 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 一般的な管理委託 | 家賃の5%前後 | 入居者募集、集金、クレーム対応、退去事務、清掃、設備点検など |
| 集金管理のみ | 家賃の3%前後 | 家賃の集金と送金が中心。建物管理や入居者対応は含まないことが多い |
| 家賃保証型サブリース | 家賃の10〜20% | 空室でも一定額が入る代わりに、手取りが大きく下がる |
まず自分の契約がどれにあたるかを確認してください。3%だから安い、とは限りません。集金管理のみであれば、入居者対応や建物管理はオーナー自身が担うことになります。
「率」ではなく「金額」で見ると景色が変わる
管理委託料は家賃収入に対する率で語られますが、実際には満室想定の賃料に対して計算されることが一般的です。ここに落とし穴があります。
空室が増えると、実質的な負担率は上がる
6室・各8万円のアパートで考えます。満室時の家賃収入は月48万円、委託料5%なら月2万4,000円です。
| 入居状況 | 家賃収入 | 委託料 | 収入に対する実質負担率 |
|---|---|---|---|
| 満室(6室) | 48万円 | 2万4,000円 | 5.0% |
| 4室入居 | 32万円 | 2万4,000円 | 7.5% |
| 3室入居 | 24万円 | 2万4,000円 | 10.0% |
半分空室になれば、実質負担率は5%から10%へ倍増します。つまり委託料の重さは、その会社が空室を埋められるかどうかで決まります。
手数料を4%に下げても、空室が1室増えれば効果は簡単に吹き飛びます。前の記事でも触れたとおり、家賃6万円の部屋が1か月空けば、それだけで年間収入の8%以上が消えます。
委託料に含まれない費用に注意する
月々の委託料とは別に発生する費用があります。ここを把握していないと、実際の年間コストが見えません。
- 広告料(AD):入居者を決めた仲介会社に支払う。家賃の1〜2か月分になることもある
- 更新事務手数料:契約更新のたびに発生する会社がある
- 原状回復工事費:退去のたびに発生。会社によって単価が大きく異なる
- 緊急対応の出動費:夜間・休日の対応が別料金の場合がある
- 札幌では除雪・排雪費:委託料に含まれるか別建てかを要確認
比較する際は、月額の率だけでなく「年間で実際にいくら払っているか」を集計してください。委託料が安い会社ほど、他の項目で回収している場合があります。
委託料を下げたいときの現実的な方法
1. 業務範囲を絞る
清掃を自分で行う、集金管理のみに切り替えるといった方法で率は下がります。ただし削った業務は自分でやることになります。時間を金額に換算して判断してください。
2. 複数物件をまとめて委託する
複数棟を所有している場合、まとめて依頼することで率の交渉余地が生まれます。管理会社側も巡回や対応を効率化できるためです。
3. 他社の見積もりを取る
相見積もりは有効ですが、率だけを並べても比較にならない点に注意してください。業務範囲、AD の上限、原状回復の単価、緊急対応の扱いまで同じ条件で並べて初めて比較になります。
安さで選ぶ前に確認したいこと
委託料を1%下げることと、空室期間を1か月短くすること。金額のインパクトは後者のほうが大きいケースがほとんどです。
そのため、乗り換えを検討する際は次の点を比較してください。
- 直近の入居率を数字で答えられるか
- 空室が発生してから成約までの平均日数
- 原状回復の単価表を開示できるか
- ADの上限が定められているか
まとめ
- 相場は一般管理5%前後、集金管理のみ3%前後、サブリース10〜20%
- 委託料は満室想定で計算されるため、空室が増えると実質負担率が上がる
- AD・更新事務・原状回復・除雪など、委託料に含まれない費用を年額で把握する
- 率の比較より、年間の総額と入居率で比べるほうが実態に近い
管理委託料は、支払う金額そのものよりその支払いによって空室日数がどれだけ短くなるかで評価すべき費用です。
この記事について
相場の水準は市場環境や地域、物件規模によって変動します。実際の契約条件については各社にご確認ください。
参照した情報
- 管理委託費の相場水準:不動産管理業の一般的な水準に関する各種解説(2026年8月調査)
- 国土交通省「賃貸住宅管理業務に関するアンケート調査結果」




