札幌の賃貸経営で失敗しない3つの判断軸|区別の空室率データで解説

札幌で賃貸経営を始めよう、あるいは今の経営を立て直そうと考えたとき、判断のよりどころになるのは感覚ではなく数字です。2025年の国勢調査では、札幌市の人口は1920年の調査開始以来はじめて減少に転じました。一方で世帯数は増えています。この「人口は減り、世帯は増える」という状況をどう読むかが、これからの札幌の賃貸経営を左右します。

この記事では、公的統計をもとに札幌市場の現在地を確認したうえで、立地・建物・管理体制という3つの判断軸を具体的に整理します。

数字で見る、いまの札幌の賃貸市場

人口は初の減少、それでも世帯数は2万6千増えている

2025年10月1日時点の国勢調査によると、札幌市の人口は196万4034人。前回(2020年)から9361人減り、統計が始まった1920年以降ではじめてマイナスとなりました。

ところが世帯数は99万5616世帯と、前回から2万6455世帯も増加しています。1世帯あたりの人員は1.97人となり、こちらも初めて2人を下回りました。

賃貸経営の視点で言えば、これは「借りる人の総数は減っているが、部屋の必要数は増えている」という状態です。人口減少というニュースの見出しだけで市場を悲観する必要はありません。ただし、増えているのは単身・2人世帯向けの需要であり、そこに合わない間取りの物件は今後さらに苦戦します。

区によって、増えている場所と減っている場所がはっきり分かれた

市全体では減少でも、区ごとの動きは大きく違います。前回調査から人口が増えたのは、次の3区だけでした。

区人口の増減
中央区+7202人
豊平区+5662人
西区+734人

反対に減少幅が大きかったのは清田区(4411人減/3.9%減)と東区(4130人減/1.6%減)です。清田区の減少率は市内最大でした。

空室率は区ごとに14ポイント以上の開きがある

総務省「住宅・土地統計調査」(令和5年)をもとにした集計では、札幌市の賃貸住宅の入居率は市全体で75.7%。区別に見ると次のような差があります。

区入居率空室率
西区82.4%17.6%
厚別区81.0%19.0%
清田区77.2%22.8%
北区68.0%32.0%

最も高い西区と最も低い北区では、空室率に14.4ポイントの差があります。

なお、この調査は募集していない空き家も含めて集計されているため、実際に管理されている物件の稼働率はこれより高くなるのが一般的です。それでも、区ごとの相対的な厳しさを比べる材料としては有効です。

判断軸① 立地は「人気」ではなく「世帯が増えているか」で選ぶ

札幌の不動産投資では中央区の名前がよく挙がります。実際、人口の増加幅は市内最大で、官公庁や商業施設が集まる利便性の高さは揺るぎません。ただし物件価格も高く、初期費用が大きくなるぶん利回りは出にくいという側面があります。

ここで注目したいのが豊平区です。人口増加は中央区に次ぐ規模でありながら、中央区ほど物件価格が高騰していません。取得コストと需要のバランスという観点では、検討する価値があります。

逆に、一般に「大学があるから需要がある」と語られやすい北区は、空室率が32.0%と市内で最も高い水準です。学生需要は確かにありますが、供給も同じだけ厚いということです。エリアの知名度や語られ方と、実際の需給は一致しません。

物件を選ぶときは、次の3点をセットで確認してください。

  • そのエリアの世帯数が増えているか(人口だけでなく世帯で見る)
  • その区の空室率が市平均と比べてどうか
  • 想定する入居者層と間取りが、そのエリアの世帯構成と合っているか

判断軸② 札幌の物件は「冬に選ばれるか」で決まる

ここが本州の賃貸経営と最も大きく違うところです。札幌の入居者は、内見の段階から冬の暮らしやすさを具体的に見ています。設備の差が、そのまま成約率と退去率の差になります。

暖房方式は月々の負担に直結する

札幌の賃貸物件の暖房は、主に灯油・都市ガス・電気に分かれます。入居者にとっては冬季の光熱費が家賃に上乗せされる固定費なので、家賃が同じなら暖房費の安い物件が選ばれます。

特に灯油暖房は、価格変動の影響を受けるうえ、給油の手間を嫌う単身者・高齢入居者もいます。所有物件がどの方式かは、募集条件を考えるうえで必ず把握しておきましょう。

除雪の体制が入居者の満足度を決める

冬季の除雪は、札幌の賃貸経営における最大のクレーム要因のひとつです。誰が、どの範囲を、どの頻度で除雪するのか。管理委託契約でここが曖昧なままだと、大雪のたびに入居者からの不満が蓄積し、更新時期の退去につながります。

管理会社を選ぶ際は、「除雪の範囲と頻度が契約書に明記されているか」を必ず確認してください。口頭の「対応します」では、実際の大雪のときに機能しません。

駐車場と、雪の置き場

札幌は車を使う世帯が多く、駐車場の有無は成約を大きく左右します。加えて見落とされがちなのが雪の堆積スペースです。敷地内に雪を置く場所がないと、シーズン中に駐車場が実質的に使えなくなり、翌年の募集に響きます。

判断軸③ 収支を最終的に決めるのは管理体制

立地と建物が同じでも、管理会社によって手残りは変わります。理由は単純で、空室期間と原状回復費という2つのコストを握っているのが管理会社だからです。

空室1か月の損失を、金額で考える

家賃6万円の部屋が1か月空くと、その年の家賃収入は72万円から66万円に減ります。失われるのは年間収入の約8.3%です。2か月空けば16.7%。ここに広告料や原状回復費が加われば、その部屋のその年の利益はほぼ消えます。

だからこそ、管理会社に対しては「入居者を募集します」という言葉ではなく、どういう方法で、どのくらいの期間で埋めてきたのかを具体的に聞くべきです。

原状回復費の負担がどうなっているか

退去のたびに発生する原状回復費は、長期的に見れば収支への影響が非常に大きい項目です。自社で施工体制を持つ会社と、外部の協力会社に発注する会社ではコスト構造が異なります。オーナー負担が実質ゼロになる仕組みを用意している会社もあるので、契約前に必ず確認してください。

契約前に聞いておきたい6つの質問

  • 直近の入居率を公表しているか。数字で答えられるか
  • 2か月以上の家賃滞納率はどの程度か
  • 入居者からの連絡をいつ、どの手段で受けているか(夜間・休日を含むか)
  • オーナーが空室状況や入出金を自分で確認できる仕組みがあるか
  • 原状回復工事は自社施工か、外注か。単価表は開示されるか
  • 冬季の除雪の範囲・頻度・費用負担はどうなっているか

これらに具体的な数字で答えられる会社は、それだけ自社の実績を把握しているということです。逆に「がんばります」「ケースバイケースです」しか返ってこない場合は、判断材料が得られていない状態で契約することになります。

全項目をならべて比較する

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会社名 入居率 管理戸数 オーナー様対応 入居者様対応 原状回復工事 定休日 不動産DXの導入
株式会社HPM(ほっとハウス) 96%以上 7,160戸 オーナー様専用アプリ 入居者様専用アプリ (24時間受付) 0円 年末年始 (土日祝は営業) ◎
株式会社 常口アトム 記載なし 57,344戸 記載なし 記載なし 記載なし 記載なし 〇
ビッグ不動産管理部 94% 22,000戸 記載なし 記載なし 記載なし 記載なし △
出典 ※1 株式会社HPM(ほっとハウス) 公式サイト(https://ho10-house.com/) 2026年8月調査 / ※2 株式会社 常口アトム 公式サイト(https://www.jogjog.com/kanri/) 2026年8月調査 / ※3 ビッグ不動産管理部 公式サイト(https://www.kensakun.net/bigservice/) 2026年8月調査
各社が公式サイトで公表している情報をもとに作成しています。記載のない項目は「記載なし」と表記しました。最新の内容は各社公式サイトをご確認ください。

繁忙期を逃さないことが、年間の利回りを守る

札幌の賃貸市場は1月から3月に需要が集中します。道内外からの転勤、大学・専門学校への進学がこの時期に重なるためです。

この時期に募集が間に合わないと、次の山が来るまで空室が続くリスクがあります。つまり、退去の連絡を受けてから動き出すのでは遅いということです。更新時期や入居者の動向を管理会社が把握し、早めに原状回復と募集の段取りを組めるかどうかが、年間の稼働率を決めます。

繁忙期に向けた準備をいつから始めるか。この質問への答え方でも、管理会社の力量はある程度わかります。

まとめ

札幌の賃貸経営で押さえるべき点を、あらためて整理します。

  • 人口は減少に転じたが世帯数は増えている。単身・少人数向けの需要は堅調
  • 人口が増えているのは中央区・豊平区・西区の3区。空室率は区ごとに14ポイント以上の差がある
  • 札幌では暖房方式・除雪・駐車場という冬の要素が、成約率と退去率を直接左右する
  • 空室期間と原状回復費を握るのは管理会社。数字で答えられる会社を選ぶ
  • 需要が集中する1〜3月から逆算して動ける体制を組む

物件は簡単には買い替えられませんが、管理会社は見直すことができます。いま手元の収支に不満があるなら、まず管理体制から点検してみてください。

当サイトでは、札幌市内の賃貸管理会社を公開データにもとづいて比較しています。あわせてご覧ください。

この記事の出典

  • 札幌市の人口・世帯数:令和7年(2025年)国勢調査 速報値にもとづく報道(北海道ニュースUHB、2026年5月)
  • 区別の入居率・空室率:総務省「住宅・土地統計調査」(令和5年)および札幌市まちづくり政策局の資料にもとづく集計

数値は調査時点のものです。最新の統計は各公表元をご確認ください。

失敗しない賃貸管理会社の選び方 オーナーが最初に確認すべき3つのポイント

1

入居率を公開しているか

公開している会社は、それだけ数字に自信がある証拠です。非公開の場合は、直近の実績を面談で必ず確認しましょう。

2

オーナー・入居者の対応窓口があるか

専用アプリなどオーナーが状況を確認できる仕組みと、入居者からの連絡を24時間受けられる体制。ここが手薄だと、対応の遅れがそのまま退去につながります。

3

原状回復工事の費用負担はどうか

退去のたびに発生する原状回復費は、収支を大きく左右します。オーナー負担が実質0円になる仕組みを持つ会社もあるので、必ず確認しましょう。

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