賃貸住宅管理業の登録は確認したか|200戸以上は義務、番号の見方まで

管理会社を選ぶとき、ほとんどのオーナーは委託料と提案内容を見ます。しかしその会社が賃貸住宅管理業の登録を受けているかを確認する人は多くありません。

この登録は、2021年に本格施行された賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(賃貸住宅管理業法)に基づく制度です。登録業者には具体的な義務が課され、その多くはオーナーを直接保護する内容です。制度の中身と、確認のしかたを整理します。

なぜこの法律ができたのか

賃貸住宅の管理は長らく、法律上の資格制度がない領域でした。国土交通省の調査では家主の約8割が管理を委託している一方で、約半数の家主が何らかのトラブルを経験しています。内容として多いのは、賃料・敷金の入金遅延、管理業務の内容についての認識の食い違い、報告の不足です。

さらに、サブリース(家賃保証)をめぐる紛争が社会問題化したことが、法制化の直接の引き金になりました。「言った・言わない」で片付いていた領域に、書面と説明の義務を持ち込んだのがこの法律です。

登録が必要になる基準

項目内容
登録義務の基準管理戸数200戸以上
200戸未満義務ではないが任意で登録できる
登録先国土交通大臣
有効期間5年(更新制)
無登録営業の罰則1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(併科あり)

ここでいう「管理業務」は、建物の維持保全(点検・清掃・修繕など)を行うこと、およびそれと併せて行う家賃等の金銭の管理を指します。金銭の管理だけを単独で行う場合は、この法律上の管理業務にはあたりません。

登録業者に課される義務

オーナーにとって重要なのは、登録が「看板」ではなく具体的な行動義務を伴う点です。

義務内容オーナーにとっての意味
業務管理者の配置営業所ごとに1名以上知識を持つ責任者が各拠点にいる
契約前の重要事項説明報酬額・業務内容・実施方法を書面で交付し説明契約前に条件を紙で確認できる
契約時の書面交付確定した条件を記載した書面を交付後から「聞いていない」を防げる
財産の分別管理受領した家賃等を自社の財産と分けて管理会社の資金繰りに家賃が混ざらない
委託者への定期報告年1回以上、オーナーへ報告放置されない仕組みがある
再委託の禁止管理業務の全部を他社へ丸投げできない契約した会社が責任を持つ
帳簿の備付け営業所ごとに業務の帳簿を保存記録が残る
標識の掲示・証明書の携帯営業所に登録情報を掲示、従業者は証明書を携帯その場で確認できる

特に効いてくるのが財産の分別管理と定期報告です。入居者から預かった家賃が会社の運転資金と混ざっていると、会社が資金難に陥ったときオーナーへの送金が止まります。分別管理はこのリスクへの制度的な歯止めです。

業務管理者になれる人

業務管理者は誰でもなれるわけではありません。次のいずれかが必要です。

  • 賃貸不動産経営管理士の資格を持つ者
  • 宅地建物取引士で、指定の講習を修了した者

いずれも管理業務に関する2年以上の実務経験が求められます。面談の場で「この営業所の業務管理者はどなたですか」と尋ねると、体制の実態が見えます。

サブリースは戸数に関係なく規制される

見落とされやすい点として、サブリース(特定賃貸借契約)は管理戸数にかかわらず規制対象です。200戸未満でも、次の規制がかかります。

  • 誇大広告等の禁止:「家賃保証」「30年一括借上げ」といった表示で、家賃減額の可能性や免責期間を隠すことは禁止
  • 不当な勧誘等の禁止:事実を告げない、不利益な事実を隠す勧誘の禁止
  • 契約前の重要事項説明:家賃の減額請求がありうること、契約解除の条件などの説明義務

「家賃保証」という言葉だけで判断しないこと。借地借家法上、借主(=サブリース会社)からの家賃減額請求は制度として存在します。重要事項説明書で減額の条件と時期を必ず確認してください。

登録の有無を調べる方法

確認方法は3つあります。

1. 国土交通省の検索システム

国土交通省は賃貸住宅管理業者の登録情報を検索できるシステムを公開しています。商号や所在地から検索でき、登録番号・登録年月日・営業所を確認できます。会社名で検索して出てこなければ、登録していないか、商号の表記が違う可能性があります。

2. 会社のウェブサイト・名刺

登録業者はたいてい、サイトのフッターや会社概要に「国土交通大臣(1)第○○○○号」のように記載しています。括弧内は更新回数で、5年ごとに1つ増えます。制度が2021年開始なので、現時点では(1)または(2)が中心です。

3. 営業所の標識

登録業者は営業所に標識を掲示する義務があります。訪問したときに掲示があるかどうかは、その場でできる最も確実な確認方法です。

200戸未満で登録していない会社をどう見るか

ここが判断に迷うところです。200戸未満なら無登録でも違法ではありません。地域密着で丁寧な仕事をしている小規模な会社は多数あります。

そのうえで、確認すべきは「登録の有無」ではなく「登録業者と同じ運用をしているか」です。次の3つを聞いてください。

  1. 契約前に、業務内容と報酬を書面で説明してもらえますか(重要事項説明に相当)
  2. 預かった家賃は、会社の口座と分けて管理していますか(分別管理に相当)
  3. 報告はどのくらいの頻度で、どんな形式でもらえますか(定期報告に相当)

この3つに具体的に答えられる会社なら、登録の有無にかかわらず運用は信頼できます。逆に、200戸以上を管理していそうな規模なのに登録が見つからない場合は、その理由を確かめるべきです。法令遵守の姿勢そのものに関わります。

まとめ

  • 管理戸数200戸以上の会社は国土交通大臣の登録が義務。有効期間5年、無登録営業には罰則がある
  • 登録業者には重要事項説明、財産の分別管理、年1回以上の報告、再委託の禁止など具体的な義務が課される
  • サブリースは戸数に関係なく規制対象。誇大広告の禁止と重要事項説明の義務がある
  • 200戸未満の無登録は違法ではない。書面説明・分別管理・報告頻度の3点を直接確認して判断する

登録の確認は、面談前に会社名を検索するだけで数分で終わります。候補が複数あるなら、比較の最初のふるいとして使ってください。

失敗しない賃貸管理会社の選び方 オーナーが最初に確認すべき3つのポイント

1

入居率を公開しているか

公開している会社は、それだけ数字に自信がある証拠です。非公開の場合は、直近の実績を面談で必ず確認しましょう。

2

オーナー・入居者の対応窓口があるか

専用アプリなどオーナーが状況を確認できる仕組みと、入居者からの連絡を24時間受けられる体制。ここが手薄だと、対応の遅れがそのまま退去につながります。

3

原状回復工事の費用負担はどうか

退去のたびに発生する原状回復費は、収支を大きく左右します。オーナー負担が実質0円になる仕組みを持つ会社もあるので、必ず確認しましょう。

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